音楽・美術留学
このページは2015年度の調査をもとに、2017年2月時点で更新した情報です。学校情報については留学を希望する学校に直接最新の情報を確認してください。なお、当機構がこれらの学校を特におすすめしているという趣旨ではありません。ドイツ語のウムラウト記号は、該当の母音後にeを入れることで代替しています。
概要
オーストリアは音楽教育に国を挙げて力を入れています。
初等教育から高等教育までを大きく数えれば、音楽教育を行う公的な機関は、拠点となる比較的大きなものが430機関あり、それを支える補助的なものが1480機関あります。音楽を学んでいる者は全体で約20万人、教員数は約7千人です。
音楽教育は、国立と私立の大学、州立と私立の音楽院で行われます。いずれも入学の際の年齢制限や、資格などの要件が異なります。これらの教育水準は高いので、初心者の方が比較的短期間で学びたい場合は、民間の音楽教室などを探すとよいでしょう。
音楽系の国立大学に限れば、履修者の約半数が外国人となっています 。留学生にとって過ごしやすい環境であると言えます。
音楽大学
国立音楽演劇大学
学士課程・修士課程・博士課程が設置されており、それぞれの課程に対応した学位を交付します。ディプロム課程が設置されている学校もあります。
また、学位・資格取得を目的としない、子供や大人が技術を磨くための基礎的なコースが設けられていたり、著名な音楽家によって才能がある子供に対する特別講義(マスターコース)が行われる学校もあります。
クラシック音楽の実技の他、大学によって声楽、教会音楽、ジャズ、電子音楽、現代音楽も学べます。
入学要件は大学や専攻によっても異なりますが、一般的にはドイツ語の語学力が求められ、理論と実技の試験が課されます。語学要件は一般に、学士課程がB1、ディプロム課程がB2です。また外国人に対しては、マトゥーラ相当の資格を求めます。
学費は外国人の場合、いずれも約1,500ユーロ/年です。いずれの大学でも5割近くが、外国人留学生です。
<コース例>
学校名 |
国立ウィーン音楽演劇大学 |
課程・専攻 |
学士課程 ピアノ室内楽専攻 |
対象者 |
・ドイツ語能力でB1以上 の能力を証明できる者
・中等教育を修了している者
・音楽について才能を有する者 |
選抜 |
オンラインにて出願し、所定の日に実技試験を受ける。 |
学費 |
約1,500ユーロ/年 (EU圏外の外国人の場合。全学科共通) |
言語 |
ドイツ語 |
期間 |
4年間 |
私立音楽大学
音楽院
職業音楽家や音楽教師を育成するための教育機関として音楽院(Konservatorium)があります。器楽や声楽、音楽劇や舞踏などの実技と理論のコースが受講できます。
公立音楽院
私立学校
私立校は音楽院や、インスティテュートなど独自の名称を冠しています。主にディプロム課程が設置され、学校によってはパートナー大学との連携により学士号や修士号を取得できる課程を設けているところもあります。分野は各学校によって異なり、多くはクラシックとジャズで、中にはポップスを選択肢に加える学校もあります。
試験は実技と理論に関するものです。
学費は受講するコマごとに定められていることが多く、各学生が何を受講するかによって異なるでしょう。しかし1コマが約350ユーロ/月などであり、諸経費を含めて年間で5,000ユーロ以上になることもあります。
【例】
・リヒャルト・ワーグナー音楽院 Richard Wagner Konservatorium
・プライナー音楽院 Prayner Konservatorium
・フランツ・シューベルト音楽院 Franz Schubert Konservatorium
・ウィーン音楽院 Vienna Konservatorium
・ウィーン・ミュージック・インスティテュート (VMI)
学位・資格取得を目的としないもの
民間の音楽教室
オーストリアは音楽教育の水準が高い国です。比較的経験が浅く、これから本格的に技術を身に着けたい方は、民間の音楽教室等で、アマチュアクラスやホビークラスを探すとよいでしょう。また、個人レッスンや語学学校が提供する音楽コースを探すという選択肢もあります。
教会音楽音楽院
準備学級
オーストリア国内の若者に向けて、音楽大学や音楽院に入学するための準備学級が、様々なところに設けられています。しかし一つの機関がすべての専攻を網羅しているようなことはありません。機関として制度化されていないので、「Vorbereitungskurs(準備コース)」というキーワードで検索し、詳細は各機関に問合せが必要です。
音楽講習会
主に夏に1週間から4週間程度の音楽講習会が開かれます。これらは「マイスタークラッセ(Meisterklasse)」、「夏季アカデミー(Sommerakademie)」、「セミナー(Seminar)」などという名称です。オーストリアで開かれる音楽講習会は、国立音楽演劇芸術大学の他、コンサートを開催する団体などが主催しており、音楽大学へ入学を希望する学生や、既にプロである方を主な対象としています。
オーストリアの音楽講習会には様々な形態があり、一度に数百人の受講生がいるもの、子供向けのものもありますが、いずれも才能を発掘することを目的に掲げていて、専門家養成の志向が強くあります。ほとんどの場合、参加するには高い技術レベルを求められるでしょう。
オーストリア独特の特徴としては、講習会の中には並行して国際音楽祭を開催しているものが多くあり、受講者は自分の技術を磨くだけではなく、音楽祭へ参加することもあります。
音源を審査したり、推薦状を求めたり、プロフィールを精査したりして合否を判定しています。多くのものが食事付きのホテルなどを比較的安価で用意しています。
【音楽講習会例】
音楽演奏について
オーストリアでは、一般的に夜10時から朝6時は騒音禁止の時間帯とされていますが、音楽演奏を認めるかどうかはそれぞれの家で決定することになっています。禁止時間外であっても、練習時間は隣人と話し合って取り決める必要があります。室内で音楽演奏が認められるか、練習可能な時間帯はいつかなどは契約前に必ず確認しましょう。なお、大学の練習室だけではなく、音楽練習用のスタジオなど自宅以外の練習先を確保しておくと良いでしょう。
留学経験者へのアンケート
Yさん(20代女性)
都市名: ウィーン
留学先: ウィーン市立芸術音楽私立大学(旧ウィーンコンセルヴァトリウム私立音楽大学)Musik und Kunst Privatuniversität der Stadt Wienのサマーコース
学んだ分野: バイオリン
留学期間: 2010年8月5日~2010年8月20日(お盆前後の2週間)
留学形態:自己手配
アンケート回答(PDF:193KB)