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奨学金留学
体験レポート
Y.B.さん
留学先国・地域:ドイツ・ゲッティンゲン
留学期間:2018年5月 - 2022年3月
学校名:マックス・プランク太陽系研究所 / ゲッティンゲン大学
専攻名:物理学科
留学形態:大学院への進学(博士号取得)
留学の動機について
Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
大学4年生のときに、大学の交換留学プログラムを利用しプリンストン大学で研究インターンを行う機会がありました。そこで、海外の研究環境の良さや研究所内のオープンかつ活発な雰囲気に惹かれたことがきっかけとなり、大学院留学を(当時はまだぼんやりとでしたが)考え始めました。その後、一度日本国内の大学院修士課程に進学し、そこで太陽内部プラズマ物理学の研究経験を積みながら、博士課程からの海外留学を目指しました。
Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
留学先を決める際、太陽内部研究の分野で世界をリードする研究機関として、アメリカのコロラド大学ボルダー校(CU Boulder)とドイツのマックスプランク太陽系研究所(MPS)の2つの候補があり直前まで迷っていました。両方に出願し合格を頂けたのですが、最終的には家族や当時の指導教員とも相談した結果、ドイツのMPSに行くことに決めました。留学前に実際にMPSに招待され、街の雰囲気や研究環境の良さを知れたことや、現地の研究者達と議論したり(後の)指導教員に熱心に誘っていただいたことも大きな決め手となりました。
Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?
ありがたいことに、両親ともドイツに留学し博士号取得を目指すことを応援してくれました。留学中は、祖父母と両親がはるばるドイツまで来てくれて、住んでいる街を案内したり一緒にヨーロッパ小旅行することができました。
留学の準備について
Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。
2015年6-8月:プリンストン大で短期研究留学(交換留学)
2015年8月:大学院留学を視野に入れ始める
2016年4月:ひとまず日本の大学院修士課程に進学
2017年4月:博士課程からの海外留学を考え始める
2017年7-9月:HAO(コロラド大)に短期研究留学
2017年9月:本格的に留学準備開始
2017年9月:TOEFL iBT再受験
2017年10月:JASSO奨学金に応募
2017年11月:マックスプランク太陽系研究所(MPS)に出願
2018年1月:MPS書類選考通過。Skype面接を受ける
2018年1月:MPS合格通知を受け取る
2018年2月:MPSに招待され実際にドイツ訪問(1週間)
2018年2月:JASSO奨学金書類選考通過。面接を受ける
2018年4月:JASSO奨学金採用通知を受け取る
2018年5月:ドイツに出発
Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。
留学先の有力候補であったコロラド大学ボルダー校には、大学院修士2年時に学内の短期研究留学プログラムを利用し実際に2ヶ月間訪問・滞在して、セミナーをしたり現地の研究者と共同研究を行いました。多くの研究者とコネクションを構築することができた上、研究グループの今後の展望(予算獲得状況・共同研究者の異動情報など)の詳細を知ることができ、情報収集という観点からも非常に大きな収穫となりました。
Q. 語学学習はどのように行っていましたか?
英語は、TOEFL iBTで100点以上取ることを目指して日々学習に努めました。具体的には、英語論文をたくさん読んだり、毎日英語のニュースサイトに目を通したり、留学生の友人と英語で会話したりしました。TOEFLは対策と慣れが大事なので、複数回受け直したことで次第に点数が取れるようになっていきました。ドイツ語に関しては、恥ずかしながら全く勉強せずに知識ゼロの状態でドイツ留学を開始してしまいました(大後悔)。
Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?
利用しませんでした。
Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。
欧米の博士課程では、基本的に学生に給与が支払われるため、留学の資金調達は必須ではありませんでしたが、先方からの要望もあり国内の複数の給付型奨学金制度に応募しました。その中で、有難いことに日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度(大学院学位取得型)に採用していただくことができました。
Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。
ドイツのPhDプログラムは基本的に全て英語で行われるため、博士課程への入学要件としてドイツ語能力は問われていないのですが、(言うまでもなく)ドイツ語が話せないと様々な場面で苦労します。特に、ビザの申請・銀行口座開設・アパート探し・引っ越し・携帯やインターネット契約・税金還付申請など生活のありとあらゆる場面でドイツ語が必要とされます。留学前に少しでもドイツ語の勉強をしておくべきだったと後悔しました。
留学中の様子について
Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。
博士課程学生の生活は、日本もドイツも基本的に同じで、指導教員と議論したりセミナーに出たり自分の研究を進めるのが主です。ただし、日本のように夜遅くまでラボに残ることは非常に稀で、基本的に皆夕方には家に帰って各々プライベートな時間を楽しみます。博士課程のカリキュラムに関しては、日本に比べてハードだと感じました。査読付き論文や学会発表要件に加え、必修の授業やティーチング業務、さらには一部課外活動もこなさなくてはなりません。こういったマルチタスクのマネジメント能力とそれらのプレッシャーから心身の健康を維持する自己管理能力が要求され(鍛えられ)たと思います。
Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。
ゲッティンゲンは比較的小規模な学生街で娯楽も少なく、またドイツでは日曜日は全てのお店(スーパー含む)が閉まります。僕はドイツに来る以前は東京に長く住んでいたため、留学当初はあまりの違いに少しカルチャーショックを感じていました。それが今では、休日は山や湖に散歩やハイキングに行ったり、友人とボードゲームしたり、原っぱに座ってビールを飲んだり過ごしています。このようにドイツでは、何をするでもなく自然の中に身を置いてゆっくりとした時間を過ごしてリフレッシュするのが一般的で、僕も非常に気に入っています。
Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)?
しませんでした。
留学後について
Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?
今回、世界最先端の太陽研究拠点であるドイツのマックスプランク太陽系研究所に実際に留学して感じたことは、「日本も全然負けてない」という事です。学生やポスドクの質や研究レベルに関しては、日本の大学や研究機関も遜色ないことを再確認しました。ただし、ドイツでは研究グループ内の分業が徹底されていて、研究者が雑務にすることなく研究に専念できる仕組みが整っていることが、国際競争力の違いを生んでいると感じました。
Q. 留学後の進路について教えてください。
長期的な進路は未定ですが、しばらくは引き続きドイツで太陽内部の研究に邁進する予定です。ゆくゆくは日本に戻り、留学をサポートしてくれた家族・友人や日本学生支援機構に恩返しをすると共に、留学で得た知識や経験を日本社会に還元できればと考えています。
Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
大学院留学を実りあるものにするためにも、留学準備はとても大切です。特に、留学先・指導教員・研究テーマ選びは妥協せずにしっかり行いましょう。出願書類の準備もとても大変で一朝一夕にはいかないため、とにかく早め早めの行動が大切です。また、留学中は様々な困難が待ち受けてると思いますが、そんな時は1人で抱え込まず、周りに助けを求めることが大事です。皆さんの留学が素晴らしいものになることを願っています。
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