留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 奨学金留学

留学先国・地域:フランス
留学期間:1年間
学校名:リヨン政治学院
専攻名:なし
留学形態:日本の大学在学中の留学(学士課程在学中) 交換留学/協定留学/派遣留学

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。

子供の頃からフランス語を学んでいたのですが、当時から「大学生になったらフランス語の授業をたくさん受けて、フランスへ留学したい」と思っていました。
そして大学1年次に、フランスのヴィシーという町へ1ヶ月留学をしました。それまで長期留学は考えていなかったのですが、この短期留学を通じて、フランスの大学で一年間勉強したいという気持ちが強くなりました。
また、学士論文のテーマがフランス政治に関するものだったので、現地で調査・情報収集するという目的もありました。


Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。

高校生の時に、NHKの「テレビでフランス語」という番組を見ていました。それまでフランス国内ではパリにしか行ったことがなかったのですが、この番組内で紹介されていたリヨンという街の美しさと文化の豊かさに強く惹かれ、大学生になったらこの街に留学したいと考えるようになりました。そのため、日本の大学の公募推薦の面接試験で、希望の留学先を聞かれた際も、「リヨンへ留学したいです」と答えていました。

リヨン政治学院を留学先として選んだのは、国際関係や政治分野に特化した学校であること、また、日本を含むアジア地域の研究も盛んに行われていたからです。当校は「グランゼコール」と呼ばれる、国家官僚の育成機関のうちの一つであり、学生は三年次に一年間留学することが必須です。そのため、フランスだけでなく、他の国・地域についても学べる点、外国の文化に興味を持っているフランス人と知り合える点、日本を含めたアジア地域をフランス人の視点から捉えることができる点が決め手となりました。


Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?

私が所属していた日本の大学の学部では、留学が卒業要件とされていました。また、フランス語学校に通っていた母の影響でフランス語を勉強していたこともあり、家族からフランス留学に否定的な反応をされたことはありませんでした。しかし、学士課程で2回も留学することになるとは私も最初は考えておらず、内心申し訳なく思いながら、両親にもう一度留学させてほしいと頼んだことを覚えています。それでも快く受け入れてくれ、留学を後押ししてくれた両親には今でも感謝しています。

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。

2015年4月:留学を決意
2015年9月:所属先大学の派遣留学制度申し込み
2015年10月:学内選考試験
2015年11月:学内選考試験の合格通知が届く
2016年1月:留学先大学とのやりとり&フランス政府留学局手続き
2016年5月:留学先大学から受入許可証が届く
2016年7月:フランス大使館にてビザ申請
2016年8月末:渡仏


Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。

・留学先大学のHP
・在仏日本大使館のHP
・フランス領事館で行われたフランス政府留学局(キャンパス・フランス)の説明会
・大学の国際課で入手可能な情報(留学体験記など)
・留学から帰ってきた先輩からの情報
・留学先大学から京都に留学に来ているフランス人学生とのやりとり
・Facebookでの在リヨン日本人のグループから得られる情報


Q. 語学学習はどのように行っていましたか?

・フランスの主要メディアの記事を読む(France info、rfi、Le Mondeなど)
・ラジオニュースを聴く
・YouTube上のニュースライブ(France24の24時間放送)を見る
・大学のフランス語の授業
・アンスティチュ・フランセで行われるイベントやフォーラムへ参加


Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?

大学の派遣留学制度を利用し、留学先大学が寮も用意してくれたため、留学斡旋サービスは利用しませんでした。


Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。

日本学生支援機構の海外留学支援制度(協定派遣)に申し込み、奨学金をいただきました。


Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。

【ビザの手続きについて】
①まず、フランスに3ヶ月以上学生として滞在する方は、キャンパス・フランスが運営しているÉtudes en Franceと呼ばれるプラットフォームを通じて手続きをする必要があります。詳しくは、キャンパス・フランスのHPを参照してください。

②ビザ申請のために提出する書類を用意する必要があります。必要書類については、フランス大使館のHPにチェックリストが掲載されているはずです。ここで注意が必要なのは、銀行口座の残高証明書です。英語版が必要なのですが、銀行での英訳には一週間ほどかかるはずなので、余裕を持って準備してください。もし口座に十分なお金が入っていなければ、ご家族などに頼んでまとまったお金を入れ、それから残高証明書を発行してもらうことをお勧めします。

③ビザ申請のためには、日本中どこに住んでいても東京にあるフランス大使館の窓口まで行かなければなりません。ビザ申請のための予約は早めに取ることをお勧めします(9月留学なら7月あたりの分)。もし必要書類が間に合わなくなったら、予約日時を後からプラットフォーム上で変更することも可能です。

④ビザ申請当日、大使館に入る際は、荷物は最小限にしてください。リュックなど大荷物だと、入り口での手荷物検査に時間がかかります。ビザセクションの待合室には、証明写真機やハサミなどがあるため、もし証明写真が用意できなかった場合はその場で準備することもできます。窓口で自分の番が呼ばれるまでは、最低でも20分はかかると考えてください。また、最悪何か書類を忘れると、どれだけ遠方から来ていても自宅まで取りに帰らされます。

【留学先大学での学生登録について】
学生課にて、個人情報の照合と証明写真の撮影が行われました。その場で登録料(学費)+学生保険料を払うと、学生証がもらえます。この学生証は、校内のパソコンやプリンターを利用するために使います。さらに、全国の美術館や映画館で提示すると無料で入れたり、学生割引をしてもらえるので、積極的に活用しましょう。

Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。

【授業について】
授業時間が1コマ2時間あるので、1日のコマ数自体はみんな多くありませんでした。授業内では、先生が話しているのにも関わらず、割り込んでまで質問したり、反論する学生がよくいるので、授業自体は面白かったです。
日本と違うところは、海外から招待された専門家の方が教鞭を取る特別授業を履修できる点です。私はモスクワ大学から招待された教授が英語で行う授業を履修していました。ただ問題は、日本の大学と単位の互換性がないことです。
通常の授業だと、1学期間に15週ほど想定されていて、単位交換も問題なく行われるのですが、この特別授業は10週ほどしかないので、結局日本の大学と単位交換ができませんでした。せっかく毎回授業に出て試験も合格したのに、日本の大学の成績表に反映されないのは残念でした。しかし、授業内容はとても面白いので、履修してみることをお勧めします。

【学校生活について】
一般的に、自分から外国人に話しかけるフランス人学生は少ないです。残念ながら、「日本人はフランス語を話さない」と思っている人が多いので、警戒する人もいます。ゼミのクラスに入った時、外国人は私一人だったため、初日に積極的に話しかけました。フランス語が話せると分かると態度を軟化させ、積極的に話しかけてくれるようになり、仲良くなることができました。最初は大変だと思いますが、語学力の有無に関わらず、積極的に話しかければ色んな人と仲良くなれるはずです。


Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。

【寮について】
フランスではCROUSと呼ばれる団体が全国の学生寮を管轄しています。私は派遣留学だったので、留学先大学がCROUSを通じて学生寮を用意してくれました。問題は、寮に限ったことではありませんが、お湯が出なくなることがあったことです。Facebookの寮の住人のグループで「お湯が出なくなった」と騒ぎになり、誰かが代表でCROUSの事務所に報告するのですが、お湯が復活するまで最低でも3日はかかります。その間は、友達の家のシャワーを借りていました。

【休日の過ごし方について】
休日には、エラスムスの留学生(EU加盟国からの)やフランス人の学生、日本人留学生とピクニックをしたり、友達の家でパーティーをしていました。最近は抹茶の人気が高いので、抹茶のお菓子などをあげるととても喜ばれました。長期休暇には、近隣のヨーロッパの国に旅行に行くこともありました。

【治安について】
リヨンはパリよりはかなり治安が良いと思います。しかし、いくつかのエリアでは注意が必要です。Guillotièreというエリアや郊外では、少なくとも一人で歩くことは避けてください。年々治安が悪化しているとも聞きますので、よほどの理由がない限りは近寄らないことをお勧めします。


Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)? 

フランスでは、学生が日常的にアルバイトをすることは一般的ではありません。「学生は学業優先」という風潮が強いためか、そもそも雇ってくれるところがあまりなく、良くても短期のベビーシッターのアルバイトができるかなという様子でした。留学先大学の国際課からも、アルバイトは推奨しないと強く言われていたので、結局できませんでした。

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?

日本ではそれほど感じたことはなかったのですが、フランスを含め多くの国では格差が激しいです。街中を歩いていたら、様々な人種や民族の方がいるのですが、フランス国内で「エリート校」と呼ばれている留学先大学に通うフランス人は、9割以上白人の学生でした。留学初日にこの状態にショックを受けたことを覚えています。
そして、一般的に西ヨーロッパに留学に来る学生は裕福な家庭出身の方が多いです。学内では、フランス人や他の留学生と話していても話の内容に壁は無いのですが、学外の世界ではそうとも限りませんでした。
自分が外国語を話せること、留学できていることは、もちろん自分の努力も関係していますが、家族の経済的・精神的な支え、育ってきた環境のおかげであると気づくきっかけになりました。


Q. 留学後の進路について教えてください。

現在はフランス語の通訳などをしているのですが、近い将来フランスの大学院に進学しようと考えています。通訳・翻訳について学び、将来は会議通訳になりたいと思っています。


Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

みなさんの中には、外国語が得意じゃ無いから、差別されるのが嫌だから、という理由で留学を戸惑っている方もいらっしゃると思います。確かに、語学能力が高いことに越したことはありませんし、留学中には理不尽な目に遭うこともあります。しかし、私の経験上、留学初日からフランス語がすでにペラペラな学生はほとんどいませんでした。また、差別を受けることもありましたが、それも出会う人たちのうちの数%ぐらいです。さらに、差別をする人は、大抵自分の人生に問題を抱えていて、それは私たちに関係することではありません。

留学中苦労することもあると思いますが、実際はその何十倍も良いことがあります。色んな人と知り合えますし、自分ではできないと思っていたこともできるようになります。言葉や知識以上に得るものがたくさんありますし、その後の人生に大きな影響を与える経験になるはずです。留学をしたいと少しでも思っている方は、ぜひ行動に移してください。必ず貴重な経験になると思います。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。