このページは2015年度の調査をもとに、2017年2月時点で更新した情報です。学校情報については留学を希望する学校に直接最新の情報を確認してください。なお、当機構がこれらの学校を特におすすめしているという趣旨ではありません。ドイツ語のウムラウト記号は、該当の母音後にeを入れることで代替しています。
音楽教育は、国立と私立の大学、州立と私立の音楽院で行われます。いずれも入学の際の年齢制限や、資格などの要件が異なります。これらの教育水準は高いので、初心者の方が比較的短期間で学びたい場合は、民間の音楽教室などを探すとよいでしょう。
国立の音楽大学は3校あります。学士課程・修士課程・博士課程が設置されており、それぞれの課程に対応した学位を交付します。ディプロム課程が設置されている学校もあります。
また、学位・資格取得を目的としない、子供や大人が技術を磨くための基礎的なコースが設けられていたり、著名な音楽家によって才能がある子供に対する特別講義(マスターコース)が行われる学校もあります。
クラシック音楽の実技の他、大学によって声楽、教会音楽、ジャズ、電子音楽、現代音楽も学べます。
入学要件は大学や専攻によっても異なりますが、一般的にはドイツ語の語学力が求められ、理論と実技の試験が課されます。語学要件は一般に、学士課程がB1、ディプロム課程がB2です。また外国人に対しては、マトゥーラ相当の資格を求めます。
学費は外国人の場合、いずれも約1,500ユーロ/年です。いずれの大学でも5割近くが、外国人留学生です。
<コース例>
学校名 |
国立ウィーン音楽演劇大学 |
課程・専攻 |
学士課程 ピアノ室内楽専攻 |
対象者 |
・ドイツ語能力でB1以上 の能力を証明できる者
・中等教育を修了している者
・音楽について才能を有する者 |
選抜 |
オンラインにて出願し、所定の日に実技試験を受ける。 |
学費 |
約1,500ユーロ/年 (EU圏外の外国人の場合。全学科共通) |
言語 |
ドイツ語 |
期間 |
4年間 |
私立大学は3校あります。学校や専攻により、学士課程、ディプロム課程、修士課程が設置されます。博士課程はありません。学生数に対して教員数が多く、手厚い教育を受けることができます。
学校によって学べる分野は異なりますが、クラシック音楽やジャズなどが学べます 。
入学要件は大学や専攻ごとに異なりますが、一般的にはドイツ語の語学要件や理論、実技試験が課されます。また外国人に対しては、マトゥーラ相当の資格を求めます。
学費は大学や専攻ごとに異なりますが、おおよそ数千ユーロ/年です。
職業音楽家や音楽教師を育成するための教育機関として音楽院(Konservatorium)があります。器楽や声楽、音楽劇や舞踏などの実技と理論のコースが受講できます。
州立音楽院は5校です。音楽院は大学外の機関ですが、州立音楽院の場合、コースを受講することで欧州互換単位(ETCS)を取得することができます。ディプロム課程が設置され、修了時に職業資格(ディプロム)を取得することができます。パートナー大学との連携により学士号や修士号が取得できる課程がある音楽院もあります。また、マトゥーラ相当の資格がなくても入学可能なものもあります。
試験は実技と面接、理論や知識、語学で構成されています。
語学要件はB1以上が求められています。
学費はEU圏外からの学生の場合、2,000ユーロ/年です 。
<コース例>
学校名 |
ブルゲンラント州立ヨーゼフ・ハイドン音楽院 |
課程 |
ディプロム課程 |
対象者 |
・音楽について才能を有する者 |
選抜 |
・実技(事前に課題が提示)
・理論
・ドイツ語試験(スピーキング)、あるいはB1以上 |
学費 |
2,000ユーロ/年 |
言語 |
ドイツ語 |
期間 |
4年 |
私立校は音楽院や、インスティテュートなど独自の名称を冠しています。主にディプロム課程が設置され、学校によってはパートナー大学との連携により学士号や修士号を取得できる課程を設けているところもあります。分野は各学校によって異なり、多くはクラシックとジャズで、中にはポップスを選択肢に加える学校もあります。
試験は実技と理論に関するものです。
学費は受講するコマごとに定められていることが多く、各学生が何を受講するかによって異なるでしょう。しかし1コマが約350ユーロ/月などであり、諸経費を含めて年間で5,000ユーロ以上になることもあります。
【例】
・リヒャルト・ワーグナー音楽院 Richard Wagner Konservatorium
・プライナー音楽院 Prayner Konservatorium
・フランツ・シューベルト音楽院 Franz Schubert Konservatorium
・ウィーン音楽院 Vienna Konservatorium
・ウィーン・ミュージック・インスティテュート (VMI)
オーストリアは音楽教育の水準が高い国です。比較的経験が浅く、これから本格的に技術を身に着けたい方は、民間の音楽教室等で、アマチュアクラスやホビークラスを探すとよいでしょう。また、個人レッスンや語学学校が提供する音楽コースを探すという選択肢もあります。
※
アンケートのページには、民間の音楽教室1機関のアンケートを掲載しています。
カトリック教会の教区を母体とした学校です。学位の取得を目的とするものではありません。位置づけは職業訓練校で、期間は専攻により異なります 。
学費も様々で、例えばグラーツ・ゼッカウ教区教会音楽音楽院は180ユーロ/学期です 。
オーストリア国内の若者に向けて、音楽大学や音楽院に入学するための準備学級が、様々なところに設けられています。しかし一つの機関がすべての専攻を網羅しているようなことはありません。機関として制度化されていないので、「Vorbereitungskurs(準備コース)」というキーワードで検索し、詳細は各機関に問合せが必要です。
主に夏に1週間から4週間程度の音楽講習会が開かれます。これらは「マイスタークラッセ(Meisterklasse)」、「夏季アカデミー(Sommerakademie)」、「セミナー(Seminar)」などという名称です。オーストリアで開かれる音楽講習会は、国立音楽演劇芸術大学の他、コンサートを開催する団体などが主催しており、音楽大学へ入学を希望する学生や、既にプロである方を主な対象としています。
オーストリアの音楽講習会には様々な形態があり、一度に数百人の受講生がいるもの、子供向けのものもありますが、いずれも才能を発掘することを目的に掲げていて、専門家養成の志向が強くあります。ほとんどの場合、参加するには高い技術レベルを求められるでしょう。
オーストリア独特の特徴としては、講習会の中には並行して国際音楽祭を開催しているものが多くあり、受講者は自分の技術を磨くだけではなく、音楽祭へ参加することもあります。
音源を審査したり、推薦状を求めたり、プロフィールを精査したりして合否を判定しています。多くのものが食事付きのホテルなどを比較的安価で用意しています。