留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

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留学先国・地域:メキシコ(派遣交換)と英国(修士)への留学経験がありますが、英国への留学を中心に回答しています。
留学期間:2016年8月~2017年5月(メキシコ)、2021年9月~2022年9月(英国)
学校名:グアダラハラ自治大学(メキシコ)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(英国)
専攻名:交換留学(メキシコ)、政治学研究科安全保障専攻(英国)
留学形態:日本の大学在学中の留学(交換留学)、大学院への進学(修士号の取得)

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。

まず初めに、私は二度の海外留学経験があります。一度目は学部3~4年次で、メキシコのグアダラアラ自治大学に派遣交換留学生として、また二度目は四年弱の社会人経験を経て英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の大学院生として留学をしました。
メキシコ留学以降は中南米に暮らしており、暴力の歴史や紛争、政治汚職に長く苦しめられてきた地域に身を置くことで、紛争解決や平和構築に強い関心を抱くようになりました。さらに近年の安全保障環境やそのコンセプトの遷移・変容に伴い、国際社会における日本の立場や役割も変化していく中、安全保障分野における専門性を高めたいという強い思いから、大学院留学を決意しました。


Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。

私は自分のスタンダードがスタンダードでない環境においてこそ最も成長できると考えます。異なる文化に育ち、現地の教育を受け、根本的に異なるロジックの下に物事を捉えることのできる人々と議論を交わしてこそ、真に必要な国際感覚や深い見識が得られると思います。UCLは世界的に高名な教育機関であり、各国から有能な学生・研究者が集結する刺激的な環境にあっては、高次元且つ深みのある研究が行えると考えました。また欧州には国際問題を取り扱う研究所や国際機関の拠点も数多くあり、その近接性も英国の魅力です。最終的には、UCLの安全保障専攻が他大学と比較し、より実践的なスキルを獲得できる印象を持ったため、進学先として決めました。


Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?

私はこれまで日本の他に四カ国で暮らしたことがあります。全て単身でしたが家族は毎度私の意志を尊重し、一切反対することなく送り出してくれました。学生時代から、将来は国際的に働きたいと漠然とした夢を持っていたことを家族も知っており、それ故海外留学への理解はあり、非常に協力的でした。メキシコ留学の際は、流石に驚きと心配もあったようですが、暫く中南米に滞在し、実績を残していくことで少しずつ信頼していってくれたのではないかと思います。このような背景もあるため、大学院の進学先に英国を選んだ時は寧ろ安心してくれたかと思います。

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。

2014~2018年(学部時代):いつかは大学院に進学したいと漠然と考える
2017~2019年:専攻や留学先について本格的に調査
2020年:出願→入学許可は得ていたものの世界的なパンデミックの渦中にあり入学延期
2021年:奨学金出願→ビザ申請→出発


Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。

Times Higher Education (THE)やQS Top Universitiesといったウェブサイトの情報を頼りに、自身の専門分野に近いプログラムを提供している教育機関のロングリストを作成し、各校の公式ウェブサイトから詳細(開講講座、学費、出願スケジュール等)を調べ、Excelにまとめていきました。日頃から文献を参照する際等に著者の経歴は必ず確認するようにしているため、大体の目処はついていたかと振り返ります。


Q. 語学学習はどのように行っていましたか?

大学院進学の準備期間は既に海外に住んでいたため外国語がメインの生活でした。当時、職場でも私生活でも日常的に日本語・スペイン語・英語を使用しており、そもそも語学に関して大きな不安はありませんでした。
他方で、進学に必要な英語の検定試験(IELTS)の対策として、当時住んでいたコロンビアのBritish Councilの集中講座に通いました。さらに毎日BBCのポッドキャストを聴き、海外メディアの記事を読むことを習慣としていたことに加え、興味があった大学院のオンライン短期コースやサマースクールに参加していました。知見を広げ、語学の学習にもなり、大学の雰囲気を知ることもでき、非常に良い機会でした。


Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?

必要を感じなかったため利用しませんでした。


Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。

以下の奨学金プログラムのご支援に加え、両親からの援助及び自身の貯金で賄っていました。
・JASSO海外留学支援制度協定派遣(メキシコ)
・JASSO海外留学支援制度大学院学位取得型(英国)
・ロータリー財団グローバル補助金奨学生(英国)


Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。

大学の登録手続きやビザに関しては、先輩学生にコンタクトを取ったり、大学によっては入学前にフェイスブックグループをセットアップしてくれるところもあるので、そこで情報交換したりできるかと思います。

Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。

大学院進学準備(専門分野、留学国、大学院、専攻プログラムの選定)にかなりの時間と労力をかけたので非常に充実しており、満足度の高いものになったと振り返ります。
私の場合は一年間のプログラムで、当初はスピードについていけないと心配していましたが、勉強のコツを掴んでくると効率よく予習復習ができるようになりました。
海外の大学院ではやはり様々な国の学生と交流できることが醍醐味だと思います。私の専攻では欧米出身の学生が多かったのですが、ディスカッションやプレゼン、普段の何気ない会話から、各々の価値観やロジックを知ることができたことが意義深かったと思います。


Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。

学校外では、友人と英国内外へ旅行に出かけたり、美術館や博物館に行ったり、飲食店巡りをしたりと活動的に過ごしていました。物価が高い印象はどうしても拭えませんでしたが、学生であれば学割を利用し、大学院の時間割によってはオフピークでの活動もできるので、学習とのバランスを取りながら様々な経験をしました。
治安に関しては、中南米各国に住んでいた身からすると英国での生活には特に不安はなく、寧ろ便利なことばかりで快適だと感じていました。他方、海外経験が少ない方や、初めての海外留学の方はもちろん一層の注意を払っていただくのが賢明かと思います。


Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)? 

ロンドン市内の航空宇宙防衛コンサルティングファームでインターンをしていました。M&Aや政策リサーチのプロジェクトに参画し、同分野における専門知識のほか、実践的なスキルを身につけることができました。
この他にも校外での活動として、国連軍縮部(UNODA)と欧州安全保障協力機構(OSCE)共催のトレーニングプログラム”OSCE-UNODA Scholarship for Peace and Security”に参加し、紛争予防・解決、軍備管理、軍縮に関する国連及び欧州各国の活動等に関して包括的に学びました。

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?

新型コロナウイルスやウクライナ侵攻をはじめとする世界の安全保障環境が大きく変化する時期に、これを専攻していたことは大変意義深かったと思います。国際安全保障、紛争解決、国際法、外交政策分析といった講義での学びを、現在進行中の事象に応用して考察することで、より実践的な思考力や分析力、問題解決能力が身に付きました。この激動の時期を英国で過ごし、欧米の安全保障感覚への理解を深めると共に、日本の役割についても熟考することができました。安保関連三文書の改訂、防衛費増額、経済安全保障推進法の成立と、国内外で安全保障への意識が高まる中、その推進の一翼を担えるよう、更なる自己研鑽に励みたいと感じました。


Q. 留学後の進路について教えてください。

英国では修士課程修了後に二年間の就労ビザに申請することもでき、現地での就職も検討しましたが、最終的には日本に戻り、現在は都内の外資系コンサルティングファームにてリスクコンサルタントとして勤務しています。帰国を決断した主な理由としては以下の通りです。
① 安全保障領域において国際的な場で競争力のある人材となるためには、一度日本において安全保障・外交・防衛政策や防衛産業に関する実務経験を得るべきだと考えたため;
② 今後生活拠点を本格的に海外に移動させる上で、生まれ育った日本にもう一度住んでみたいと思ったため


Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

第一に、留学しようと思ったら絶対に行ってください。第二に、行くからには充実した留学生活を送れるよう、しっかりと準備をしてください。留学でも仕事でも、海外経験を履歴書上のお飾りに留まらせず、より深みがあるものにするためには強い意志と準備と推進力が必要だと思います。特に学位取得型で留学される方は、単なる異文化体験や語学学習に行くわけではないと承知しています。ご自身が専門領域においてどのような貢献ができるのかを追求しつつ、国際的に活躍するために真に必要な感覚や素養を身につけていただきたいと思います。いつでも帰れる国があることを、そしてそれが日本であることを忘れず、自信を持って突き進んでください。応援しています!

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。