大学・大学院・短期大学・専門学校
奨学金留学
体験レポート
M.S.さん
留学先国・地域:英国 ヨーク
留学期間:2022年10月~2025年9月
学校名:英国ヨーク大学
専攻名:英文学および関連文学研究科博士課程
留学形態:大学院への進学(博士号取得)
留学の動機について
Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
昔から英語という言語そのものに興味があり、高校・大学学部時代は中高の英語の先生になろうと思っていました。英語を人に教えるにあたって、語学・交換留学して実際の英語運用をしっかり学び、(いわゆる「学校文法」の)理屈を現実とすり合わせておきたいというのがもともとの動機でした。
(当初は専修免許取得のため)大学院に入学し、本格的に研究者を志し始めてからも、そうした思いは抱き続けていましたが(研究者になったとしても大学の英語教育に関わる可能性が高いので)、そこに付け加わったのは「せっかくなら学位留学をして、博士論文を英語圏の大学で書きたい」という気持ちでした。イギリスやアメリカといった、英文学研究の最前線で自分の研究を進めてみたいという気持ちが合わさり、最終的な留学の動機となったのでした。
コロナ禍で留学に対するモチベーションも下がってしまったりということもありましたが、お世話になった先生や先輩の後押しもあって、留学を決断するに至りました。
Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
私の場合、アメリカの博士課程に出願する選択肢もあったのですが、アメリカだと博士号取得までに通常5年ほどかかることがネックでした。その一方イギリスでは、博士課程学生は授業を取ることなく、研究と論文執筆に専念できるため、博士号取得までの期間は通常3年と短めに設定されています。
留学中は、パートナーに日本で待っていてもらう運びでしたので、より期間の短いイギリスの博士課程(通常3年)を選びました。
留学先の英国ヨーク大学は、私の専門分野(英文学)ではとても評価が高いことに加え、治安が非常にいい立地なので、有力な候補地でした。そして、指導教員候補の先生にコンタクトを取ったところ、とても親切に対応していただいたことが留学先選択の決め手となりました。
Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?
全員快く送り出してくれました。とても感謝しています。
留学の準備について
Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。
2021年5月 留学を決意する
2021年9月上旬 IELTS受験
2021年10月~12月 大学出願書類の準備
2021年12月末 大学出願
2022年1月中旬 大学から合格通知
2022年1月下旬 寮の申し込み
2022年4月 大学にCAS申し込み
2022年7月 ビザ申請のための書類準備
2022年7月末~8月上旬 ビザ申請
2022年8月下旬 ビザ受け取り
2022年9月下旬 渡英
Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。
留学情報に関しては、まず Google で調べてみて、そこから留学・在英経験者の方の書いたネット記事を参考にするのが基本でした。そのほかに役立ったのは Twitter と note です。Twitter では留学用のアカウントを作られている方が多く、そのアカウントを通して多くの方が交流・情報交換されていました。また、note にはビザ申請の手続き体験談などを記した留学関連の記事があり、とても参考になりました。
Q. 語学学習はどのように行っていましたか?
もともとリーディングは比較的得意ではあったので、留学を決意してからは、主にIELTS対策の教材・サービスを利用して、リスニング、スピーキング、ライティングの能力向上に努めました。リスニングはIELTSの過去問を使ってディクテーション、スピーキングはオンライン英会話サービスで面接の練習、ライティングは添削サービスを利用していました。
もちろん、リスニングはBBCのラジオを聴くなど、語学学習が必ずしもすべてIELTSを介していたわけではありませんでしたが、IELTSの勉強が結果的には英語そのものの勉強につながったのはたしかだと思います。
Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?
必要な留学手続きは、ネットなどで情報を集めながらすべて自力で行いました。留学エージェントなどのサービスを利用する選択肢もあったかとは思いますが、できる限りお金は節約しておきたかったので、実際には利用しませんでした。
留学斡旋サービスに頼らずとも、大学の出願もビザの申請も英語で表示される指示通りに進めて、問題なく手続きすることができました。
Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。
留学用に自分で貯めていた貯金のほかに、家族からある程度まとまった留学資金を借りました。
奨学金については、日本学生支援機構(JASSO)からいただいている給付型奨学金(大学院学位取得型)に加え、ブリテッシュ・カウンシル・ジャパン・アソシエーション(BCJA)の2022年度奨学生に選出され、ご支援をいただくことができました。
Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。
出願から学生登録にいたる大学関連の手続きについては、英語の指示通りに操作(書類のアップロードなど)をするだけで、とくに苦労を感じることはなかったと思います。大学や課程によって条件は変わるかと思いますが、研究計画書や推薦状などの必要書類は早めに用意するのがいいと思います。
ビザの手続きに関しては、ネットにある記事や note に投稿されている体験談が非常に参考になりました。とくに note の体験談にはとても詳細に綴られているものもあり、申請する際の手続きのステップが具体的にイメージできます。
私の場合、残高証明書は結局求められませんでしたが、ビザ関連についても必要(になる可能性のある)書類は余裕をもって準備しておくに越したことはないと思います。
留学中の様子について
Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。
授業のない博士課程の学生ということで、孤独な学校生活になるかなぁと留学前は思っていました。しかし、それとは裏腹に、学科の同期にはフレンドリーな人が多く、とくに二人いる同期の男子学生とは、学内外のカフェやバーなどでよく一緒に時間を過ごしており、孤独感とは無縁の生活を送っています。二人ともネイティブスピーカーなので、気軽に英語のニュアンスや口語表現について聞くこともでき、得がたい友人を得られてとてもうれしく思っています。まさに留学したからこその出会いです。
また、博論執筆に際しては二名の指導教員がコンスタントに会って指導してくれ、モチベーションを失うことなく取り組むことができています。
いまだに発話速度のはやい英語やアクセントの強い英語の聞き取りには苦労していますが、大学で出会う人たちはみなとても親切に接してくれるので、ときに周囲の人たちに助けてもらいつつも、基本的には楽しく日々を過ごせています。
Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。
私が住んでいるのは大学外の学生寮で、シャワールームとトイレは部屋に備え付け、キッチンのみ残りのフラットメンバー5人とシェアしています。やや珍しいかもしれないですが、フラットでアジア系は自分しかおらず、ほかのメンバーはイギリス出身の学生です。全員自室で食事をとっているので、わりと没交渉的な雰囲気ですが、顔を合わせた時には近況を話し合ったりします。トラブルはほぼなく快適に過ごせています。
休日には街の中心部(城壁で囲まれています!)買い物に行って気晴らしをしています。中世の名残ある街並みを歩いていると、いつもわくわくした気持ちになります。こぢんまりとした、とても治安がいいところです。
Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)?
アルバイトは現在しておらず、研究に専念しています。
留学後について
Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?
まだ渡英して6か月弱ですが、留学をして本当によかったと強く思っています。研究環境の良さはもちろんですが、それ以上に得がたい友人ができたことが大きいです。また、文化や価値観の相違(これ自体は教科書的な知識ではありますが)を自分の身で体感できたことも貴重でした。
Q. 留学後の進路について教えてください。
博士課程を無事修了することができたら、日本の大学に研究者として職を得られたらいいなと思っています。そのうえで、自分の研究で日本のアカデミアや社会に貢献することができれば、それ以上に嬉しいことはありません。
Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
留学は金銭的な負担が大きいですし、初の海外生活ということであれば(私もそうでした)なおさら不安もつのります。また、留学後の進路や日本に残す家族のことなども考えると、決断するのにはとても勇気がいると思います。ですが、留学することでしか得られないものがあることもたしかです。少なくとも私は留学しない方がよかったと思うことは一切ありません。親切な人たちとも必ず出会えるはずです。ぜひ前向きに考えてみてください。
英国の体験レポート一覧へ戻る