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奨学金留学
体験レポート
T.N.さん
留学先国・地域:オーストラリア(クイーンズランド州)・英国(ロンドン・バーミンガム・ランカスター)
留学期間:合計で4年半ほど
学校名:ボンド大学附属語学学校(オーストラリア)、ニューマン大学(英国)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(英国)、ランカスター大学(英国)
専攻名:修士課程以降は言語学専攻
留学形態:大学/大学院への進学(修士号取得・博士号取得)
日本の大学/大学院在学中の留学(交換留学/協定留学/派遣留学)
語学留学
その他(在籍大学主催の海外教育実習)
留学の動機について
Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
元々、英語教員を志望しており、高校時代の恩師からの「英語教員を目指すなら、英語のスペシャリストであれ」という言葉に後押しされ、海外留学を通じて「英語を使う経験」を培いたかったことが大きなきっかけ。修士課程以後は、自身の興味のある言語学研究のテーマから、結果的に留学という形になった。
Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
オーストラリア・英国バーミンガムへの留学は、在学していた日本の大学で語学研修や交換留学制度を通じて交流があったため。修士課程(英国・ロンドン)及び博士課程(英国・ランカスター)は、専攻したい言語学分野において師事したい先生がいたため。
Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?
大きく反対をされることもなく、応援してもらった。ただ、博士課程進学にあたっては、期間が3年以上と長期に渡ることもあり、理解を得るために時間と労力が必要であった。
留学の準備について
Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。
博士課程
(1) 情報収集:留学開始4年前
自身の研究関心を絞りつつ、国や地域・大学名等を限定せず、選択肢の候補を挙げる期間。
(2) 教員に実際にコンタクト:留学2年前
教員の研究分野に合っているか、何度もメールをやりとりして確認。大学院への出願書類に目を通してもらう。
(3) 合格通知:留学1年半前
(4) 入学を1年間遅らせる:留学1年3ヶ月前
奨学金の目処がすぐに立たなかったため。
(5) JASSO奨学金の書類準備:留学1年前
(6) JASSO奨学金合格通知:留学半年前
(7) 英国へのビザ申請:渡航1ヶ月前
新型コロナウィルス感染症の流行により、渡航が留学開始後となった。
Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。
修士課程への留学に先立ち、British Council主催「英国留学フェア」に参加したくらい。あとは、大学の担当者や教員と頻繁にやり取りをし、必要な情報を得ていた。
Q. 語学学習はどのように行っていましたか?
学部留学・修士課程への留学準備では、大学までの通学に1時間半程度かかっていたので、その時間内に英語のポッドキャストを聞き込んだ。お気に入りのエピソードを、内容を覚えられる程度になるまで何度も繰り返し聞いた。博士課程への留学へは、特に語学に特化した対策は行わず、英語論文を読んだり、英語での学会発表を聞いたり、学会参加者と話したりして、自身の研究活動を続ける中で英語力を身につけるようにした。
Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?
利用していない。金銭的な問題もあったが、留学生活を始めるにあたり、自分自身で英語でさまざまな手続きができないと現地で困ることになるので、留学への最初のハードルと捉え、自力で行うようにした。担当者とのやり取りの中で、メールの書き方や大学の仕組み等多くの学びがあったので、結果的に良かったと思う。
Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。
語学留学:家族に負担してもらった
派遣留学:馬場財団国際理解教育人材養成奨学金(給付型)
オーストラリア教育実習:在籍大学からの奨学金修士留学:JASSO海外留学支援制度(大学院学位取得型)
博士留学:JASSO海外留学支援制度(大学院学位取得型)
Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。
とにかく早め早めから準備することを心がけた。特に、在籍大学や財団等から、書類の公式の英訳を取得しないといけない場合は、日数がかかる場合が多い。また、入学予定の大学からの書類が必要な場合があるが、繁忙期には連絡が取りにくい場合があるので、ビザ取得までのスケジュールを明確に相手に伝え、いつまでに何の書類が必要なのかを強く依頼する。
留学中の様子について
Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。
留学先では、専攻や学術的興味が共通な世界中からの友達と一緒に学べたことが楽しかった。授業などでは、(自身の学部時代の専攻である教育学に関連して)他の国との教育について議論した。一方で、授業についていくためには、毎回膨大な予習をする必要があったり、授業では主体的・積極的に発言をしていく必要があったりするなど、現地の大学のペースに(外国語を用いて)慣れることに苦労した。
Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。
授業外では、週末や休暇を利用して、友達と旅行をしたり食事をしたりして交流・経験を深めた。滞在したことのある場所は、比較的安全であったため、治安に不安を感じることは少なかった。しかし、暗くなったら複数人で行動したり、裏道を通らないように注意したり等、最低限緊張感は保つようにしていた。
Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)?
アルバイトやインターンは特にしていなかったが、修士課程在籍時、ボランティアで現地の学校で日本語を教える活動に参加した。
留学後について
Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?
世界は広く、まだまだ自分の知らないことだらけであることを学んだ。交通システムやインフラ、人々の生活スタイルや価値観など、自分の中の常識は、現地の常識ではないと感じる場面が多くある。一方で、そうした経験があるからこそ、生活の中で感じる「人との違い」に寛容になり、自分は自分として尊重し、他者は他者として尊重できる姿勢を学んだ。
Q. 留学後の進路について教えてください。
現在、英国ランカスター大学の博士課程に在籍し、博士号取得に向けて研究活動を続けている。これまでは、大学時代に語学留学・派遣留学を経験し、その後修士課程の留学をした。修士課程修了後は、日本の大学で非常勤講師の職に恵まれ、4年間大学で英語や言語学を教えていた。
Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
私たちは、知らないことに対しては不安を感じたり、嫌悪感を抱いたりすることも少なくない。しかし、世界では私たちが知らないことの方が多く、国境を越えた移動が盛んな昨今、そうした価値観に否が応でも接する機会が増えている。留学とは、自分が慣れていない場所に飛び込み、現地で「外国人」になる体験をし、「違うもの」に対する自身の常識を問うことで、これまでは出会うことのなかった「違う価値観」に直接触れられる、唯一無二の機会であると思う。言語・文化・生活スタイル・通貨・時間・インフラ・人との集合時間等、生活の至る所に見られる様々な「違い」を楽しみ、「違うこと」が当たり前と感じる、それが留学の一番の醍醐味であると思う。
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