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体験レポート
2023年12月27日更新
H.N.さん
留学先国・地域:カナダ
留学期間:2020年9月-2025年8月(見込み)
学校名:モントリオール大学
専攻名:コンピュータ科学専攻
留学形態:大学院への進学(博士号取得)
留学の動機について
Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
学部・修士での指導教官の影響が大きいです。私の東工大在籍時に指導教官が専門とされている高性能計算のトップ会議のプログラムに参加した際の印象が強烈に残っています。研究に触れ始めた時期に、国際的に活躍する指導教官の姿を間近で見ることができたのは幸運であり、その姿を追いかけたいと思いました。
Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
モントリオール大学は日本では知名度がないのですが、深層学習分野においては、2019年のチューリング賞(コンピュータ界のノーベル賞)を受賞されたモントリオール大のYoshua Bengio先生の作った世界有数の深層学習理論の研究所である Mila を有し、私の興味分野で活躍する産学の研究者が世界で最も集まっている研究拠点であったことから、自身の今後のキャリアを考えた結果、モントリオール大学及びMilaのPhDプログラムへの進学を決意しました。
Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?
特に反対等されませんでしたが、コロナ禍の渡航になったため心配されました。
海外での経験がない家庭であったこともあり、丁寧に説明をしました。
留学の準備について
Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。
トータルで1年半ほどかかりました。厳密には、留学を志してから出願までに1年かかりました。合格後半年はギャップイヤーとして日本国内の研究所の residency program に参加するなどして過ごしていました。留学の準備など多くの参考になる情報がインターネットで公開されていますが、民間財団の奨学生が公開している出願に向けての体験記などが大変参考になると思います。私の専門分野である、機械学習・特に深層学習に分野は、昨今人気が高く、出願してくる学生の業績がインフレしているので、そこへの対策が非常に大変でした、その期間も含めると準備期間は2年以上になるかもしれません。英語は1年かけて IELTS の必要とされるスコアをクリアし、最後の3ヶ月で Statement of Purpose などの執筆に至りました。
Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。
Xplane や 米国大学院学生会の留学説明会での情報が非常に助かりました。
Q. 語学学習はどのように行っていましたか?
学部修士に所属していた研究室の留学生比率が高く、自然と会話をする機会は多くあったと思います。筆記に関しては、単語帳を読む・問題集を解くをひたすら繰り返していました。
また、定期的に IELTS や、予備校のやっている模試などを積極的に活用しました。
Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?
利用しませんでした。支援を受けていた民間財団のコミュニティの中で、サポートしてくださる友人に恵まれました。
Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。
最初の2年間は公益財団法人孫正義育英財団にお世話になりました。その後、夏季のインターンシップなどで、大学からの給与以外の収入を得るなどで一時帰国などの費用の捻出をしました。2022年後半から、公益財団法人重田教育財団と、JASSOの大学院学位取得支援制度に支援をいただいております。家族を帯同していることもあり、単身の留学生よりは資金調達に苦労したかもしれません。
Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。
所属大学がフランス語大学であることから、ペーパーワークが全てフランス語で大変でした。またVisa もカナダの中で私の住むケベック州は、州独自の学生ビザをカナダの学生ビザの前に取得しなければならず少しプロセスが複雑である点も苦労しました。時間に余裕を持って準備するしかないと思います。
留学中の様子について
Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。
コンピュータ以外の実験設備を必要としない研究室なので、コロナ禍ではほとんどがオンラインとなり、コミュニティに入っていく難しさを感じました。
2021年夏頃からは、カナダでは大幅に規制が緩和され、現地で人と会う機会が増えました。
ラボのメンバーと現地でディスカッションをしたり、食事をするのは非常に楽しいです。
Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。
学校外は、フランス語が求められるタイミングが稀にあり、その度に少し困ることもありますが、時間が経つにつれて少しは慣れてきました。
街自体は北米の中ではかなり治安の良い方だと聞いています。
夏は、街中で毎日何かしらのお祭り(国際ジャズフェスティバルなど)が行われているような活気があり、毎日飽きないです。
Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)?
インターンを何度か経験しました。シリコンバレーの民間企業の研究所で、自身が大学で行っている研究の産業応用に取り組みました。
留学後について
Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?
多くありますが、一番は comfort zone を出る経験だと思います。
自分のこれまでの常識では通用しない環境に身を置いて、同分野のエキスパートたちと働ける経験は今後の人生の糧になると感じています。
Q. 留学後の進路について教えてください。
まだ、明確には決まっていませんが、私の専門分野においてハブとなっている北米・欧州で研鑽を積みたいと考えています。
教育にも関心があるので、日本の次の世代を育成できるような研究者になりたいと考えています。
Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
今後、特にComputer Scienceの海外PhD進学を志す方に助言できることがあるとすれば、使えるリソースを最大限活用し、早期に出願に向けて着々と準備を行うということをお勧めします。昨今の情報系、特に機械学習系の競争はとても厳しく、優秀な世界各国のMScの学生が十分な業績をもって出願してきます。このとき、準備が不十分な場合、合格する可能性は極めて低いです。しかしながら、準備にはかなりの時間と労力を要するため、同士を見つけモチベーションを保ちつつ切磋琢磨することが、海外PhD進学には必要であると感じました。
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