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体験レポート
イタリアと 日本をつなぐもの
卒業制作と論文のプレゼン(写真右、スーツ)
留学先国・地域:イタリア
学校名:ローマ・アッカデミア美術学院
専攻名:環境・パブリック彫刻研究
留学形態:芸術留学(学位取得)
奨学金:イタリア政府給付奨学金、ポーラ財団奨学金
「アルテ・ポベラ」と「もの派」、日伊の共通点
私が生まれ育ったイタリアと日本を中心に、両国の文化的・美術的共通点を探り、新たな作品制作を目指しました。特に70年代に現れた「アルテ・ポベラ」と「もの派」は、交流がない中で近い概念や作風に至った点が興味深く、人と自然の原初的関係の回復を目指していました。本研究では、両者の「Essential」な表現に文化や個人を超えた共通感覚があり、人間同士や自然との普遍的なつながりを示していると考えました。
イタリアの美大
制作風景
イタリア・ローマへの留学を決めたのは、日本の大学での経験を経て、再びイタリアに戻り新たな発見を求めたいという思いからでした。学校選びでは、専門性やカリキュラムの内容を重視し、情報収集は公式サイトや教員などの関係者に直接連絡を取る形で行いました。準備期間は約1年で、資金はアルバイトと奨学金で工面しましたが、中でも書類の準備が特に大変でした。イタリアの美術系学校は正式には「アッカデミア」と呼ばれ、大学とは異なるため、学位の同等性証明書などの書類が必要となったためです。
口頭試験の厳しさ
イタリアの大学では、試験の多くが口頭形式で行われます。レポート形式やグループワークも存在しますが、それは稀です。「イタリアにいる以上、これくらいはできないとダメだよ」というのが先生方の口癖であり、彼らの文化と歴史への誇りを強く感じました。私は美術・彫刻専攻だったため授業の半分は実技でしたが、美術史、美学、美術理論の授業が特に厳しかったことをよく覚えています。日常生活においては応用力が求められます。バスや電車の遅延やストライキ、授業の移動や振替、さらには先生や他の学生の少し理不尽な行動に至るまで、すべてを真に受けず柔軟に対応することが重
要だと感じました。
芸術活動を続けていきたい気持ち
留学後もイタリアで芸術活動を続けたいと考えています。個人的な印象ですが、イタリアやヨーロッパでは芸術活動に対する理解が深く、より受け入れられていると感じます。アッカデミアの大学院(と同等のコース)を修了した際、自分の力量ではこちらで博士号を取得するのは難しいと痛感し、その後就職する道を選びました。
そのまま移住してしまった
二人展の発表風景(向かって一番左)
現在イタリアに在住しています。卒業後はボードゲームを製作する会社に就職し、生活をしています。仕事をしながら制作に充てる時間を確保し、作品を作り続けています。そのため、留学中に学んだ知識は、日々の制作や生活の中で活かされ続けていると感じています。
書類と契約には注意
家探しなどには特にご注意してください。当たり前かもしれませんが、無契約で入居、領収書を発行しない、通年家賃の20%以上の紹介料を求められるなどには特にご注意ください。そんな時はイタリア人の知り合いなどに同行をお願いするなどの手段で対策することをお勧めします。
私の語学勉強法
人とのコミュニケーション重視
申し訳ありませんが、特別なアドバイスは難しいです。私は高校までイタリアで過ごしており、実質バイリンガルです。ただし、他の留学生を見て感じたのは、勇気を持って実践する人ほど成長が早いということです。半年でB1 レベルに達する方もいれば、同国の人とばかり交流して語学力が伸びない方もいました。文法が多少間違っていても、イタリア人は寛容に受け入れてくれるので、積極的に挑戦することが大切だと思います。
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